開栓した後のお酒はどうしたらいいのか。特に気温の高いこの季節、気になるところです。経験なども交えながら、つらつら書きます。
生酒を開栓常温放置してハアハア( ;´Д`)ハアハア言いながら熟成をお待ちの方は、これから先の文章を読んでもつまらないと思います。回れ右してお帰りください。
★2017年5月7日リライト。分類変更及び一部補足した。
基本は冷蔵庫、生酒はチルド以下で。
【生酒表記が無い酒や生貯蔵・生詰酒表記のお酒の場合】
生酒表記がないお酒なら、冷蔵庫に入れておいたままにしておけば、当面は大丈夫です。生貯蔵、生詰もです。温度は10度未満推奨。
これまでの経験や居酒屋店主などの話を聞くに、開栓すぐはちょっとカタいなと感じても、1~2週間くらいで徐々に味や香りが開くものがあったりします。逆に華やかな香りのお酒は2週間くらい経過すると香りが崩れることが多々ありました。
ただし、長期低温熟成酒(少なくとも5年以上)、それも香りがするお酒は、開栓したらさっさと飲んでおいた方が無難です。とある酒の7年熟成酒(吟醸香が残っていて熟成味もした)を開栓して1週間後に飲んだら、ヒネ香がきつくなっており(´Д` )。発掘して外気に触れた後の遺跡状態になりました。
【生酒の場合】
チルド以下での保存がベストです。まだ菌が生きており、酵素が活動できる状態にあるからです。チルド以下で保管できる環境に無く、開栓直後に「おいしい」と感じたお酒であれば、できる限り早く飲んだ方がいいです。開栓直後に「うーん...」と思ったお酒であれば、しばらく保管するのも手ですが、長く保管すればするほど、たいてい元の酒に比べ、甘さが増します。あと後述の「生ヒネ香」がきつくなってきます。余談ですが、私の経験上、冷蔵で10年以上引っ張った生酒はどれも大なり小なりアーモンド&ミルクチョコ香がしておりました。
と言うわけで、通常酒は2回、生貯蔵・生詰はいずれも1回、出荷前に「火入れ」という加熱処理をして彼らを天に送るのです。何もしないでおくと、開封してもしなくても、酵素反応が進んで生ヒネと呼ばれる臭いが発生します。イソバレルアルデヒドという物質などで、蒸れたような甘重たいような名状しがたい臭いです。蒸し暑い梅雨時&冷房をかけていない自動車内で曇りまくったフロントガラスのイメージ。ナッツに似ているという方もいらっしゃいます。
氷点下あたりのチルドかマイナス5度程度が望ましいです。この温度帯まで下げると、生ヒネの進行がかなり止まります。あと後述の火落菌がいた場合の活動も抑制できます。
常温保管したらどうなるの?
火入れ酒なら光に当てない限り、そう危ない変化はしませんが、温度が高いと変化が早まり、古酒っぽい味わいに近づきます。ただし、開栓後は熟成マニア以外は、やめた方がいいです。火落菌という乳酸菌が入り込んだら、ヤバいからです。この菌がヒャッハーすると白く濁る&酸っぱくなります。特に室温(25度くらい)だとが活動が活発になり、ひどいのになると、生臭みを伴う酸っぱさになることも。こうなると節操無く口にするおっちゃんでも飲めませんでした。10度以下だと、活動を鈍らせることができるようです。
なお生酒の場合は未開封でも、火入れ殺菌していないため中に潜んでいることがあり、より危険です。冷蔵していなければ火落ちすることがあり、ワシもやられました。ただ初期だったのか、軽く酸っぱくなったくらい。日本酒用冷蔵庫に2週間放り込んでいたら、菌の活動が鈍ったのかそれ以上酸っぱくならず意外と飲めたという。(・ω・)
また1回火入れの生貯蔵酒や生詰酒も火落ちリスクがゼロではないため、常温保管はあまりおすすめしません。
その他あれこれ
【バキュバン】
空気をシュコシュコ抜いて酸化を防ぐフタみたいなのがあるんですが、個人的な経験から申し上げると、短期間での使用がええんでないかと。中の液体が減って1カ月や2カ月以上引っ張ってると、何かの移り香?のようなものを感じることがあります。単に酒が変化しただけで、バキュバンのせいではないかもしれんけど。
【生ヒネ香と私】
個人的には、華やかな香りでない厚みのあるお酒(お燗酒系の居酒屋さんが取り扱っている銘柄)、または古酒だと、この香りはアクセントになると考えています。そんなに嫌いな香りではありません。
まとめ
①基本は冷蔵庫へ。
②冷蔵庫に余裕が無いなら光の当たらない涼しい所に。ただし生酒は他を押しのけてでも冷蔵庫、できればチルドに。
③開けたてで華やかな香りやおいしい!と思えるお酒はそこがピークの可能性が高いので早めに飲んでしまう。逆に開けたてでピンとこなかった場合、1週間ほど様子をみるといい変化をすることも......あるかもしれない。
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おしまい。